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残業代請求における割増賃金計算表について

2016年06月18日

残業代請求においては、訴状には労働時間表を添付するのが通常です。

この労働時間表、割増賃金計算表について、弁護士は、他の法律事務所が作成・配布されているもので、ネット上でダウンロードできるものを使用していることが多いようです。

しかし、私は、自分でエクセル関数を含めて作成して、訴状でもこれを使用しています。これにより遅延損害金も含めて自動で算定できるようになっています。

実は、ある程度汎用性のある書式を作成しようと思えば、労働基準関連法令など、残業代の計算方法や労働時間の算定の仕方について、細かく正確な知識が要求されるのです。

なので、本当は、残業代請求事件をきちんとしようと思う弁護士であれば、一度は自分で作成してみることをお勧めします。

例えば、1週間40時間の法定労働時間を超えた労働時間は、いわゆる残業時間になりますが、では1週間の起点は何曜日?どうやって決まるの?法定休日っていつ?暦日をまたいで勤務をしたときはどうなるの?といったことも含めて。

作成するのは結構苦労しましたが、一度作成してみると何となく達成感もあります。

posted by YoshihideTachino at 22:17 | TrackBack(0) | 労働と法律

「過労死・過労自殺・パワハラ110番」を実施します。

2016年06月15日

6月18日10時〜15時、に全国一斉電話相談を実施します。

私の所属する過労死弁護団全国連絡会議・大阪過労死問題連絡会が実施します。
私ももちろん参加します。

https://www.bengo4.com/c_5/c_1626/n_4776/?via=twitter

大阪の電話番号は下記です。

06-6364-7272

私が新人弁護士だったときから、継続して参加している取り組みです。

posted by YoshihideTachino at 15:14 | TrackBack(0) | お知らせ

過労死・過労自殺と未払い残業代との関係について

2016年06月14日

昨日は残業代請求訴訟の裁判期日がありました。

これは、過労自殺事案で労災認定された事件で、未払い残業代もあったので
亡くなったことについての損害賠償請求とは別に、残業代請求の訴訟も提起しているものです。

このように、過労死・過労自殺は、いわゆるサービス残業が密接に関連していることが多いのです。

サービス残業であるからこそ、長時間労働が放置され、また長時間労働に対する報酬も得られないので、ストレスが高まりやすいということも影響していると思います。

努力に対する報酬が得られないことがストレスを高め、メンタルリスクを高めることについては、「努力・報酬不均衡モデル」といって、厚生労働省も採用するストレス調査の基礎ともなっています。

また、過労死・過労自殺の背景に、労働時間が自己申告制になっているケースが非常に多いのです。

仮にタイムカードを導入していても、先に打刻してから残業したり、後でタイムカードを修正していたり、退勤については打刻させないルールを採用しているところすらあります。

こういった会社の勤怠記録では、例えば、退勤時間が、「18:00」と切りのよい数字が不自然に並んでいます。

ご遺族が会社からこのような勤怠記録を出された場合、自己申告制ではないか、実際の労働時間と違うのではないかと疑ってみられた方がよいでしょう。

昨日の訴訟の過労自殺事案も、まさに自己申告制を採用している会社でした。

労災申請段階で集めたパソコン記録と照らし合わせると、申告された時間とパソコン記録により認定された残業時間がおおよそ2〜8倍違っていました。
これでは、使用者の労務管理としてあまりに杜撰と言わざるを得ないと考えています。

私は、そのような労務管理体制を取っていたことも、社員への安全配慮義務違反の重要な要素であると考えており、自殺についての責任を問う損害賠償請求訴訟を会社に提起して争っています。

皆さんの職場でも、自己申告制が取られていないか、残業時間の申告時間を規制されていないか、是非チェックをしてみてください。
そのような労務管理が取られているとしたら、上記のようなリスクがあることも知っておいていただけたらと思います。

タグ:残業代
posted by YoshihideTachino at 22:11 | TrackBack(0) | 過労死・過労自殺

職業がんをなくそう集会に参加してきました

2016年06月11日

6月11日午後1時〜午後5時に開かれた職業ガンをなくそう集会に参加してきました。
私は職業がんについては、石綿の民事損害賠償請求事件しか扱ったことはありませんでしたが、いつも労使合同勉強会などでお世話になっている化学一般が力を入れて取り組まれており、お誘いを受け参加してきました。

裁判に取り組まれた医師や弁護士から、日本における職業がんの実態や労災裁判での問題点などの解説があり、日本では欧米諸国と比べても職業がんの調査研究が国によりほとんどなされておらず、そのために労災行政や裁判所で立証が困難となっているという状況が分かりました。

国が調査を懈怠しておいて、それにより適切な予防策が実施されず、また労災補償もされないというのは不条理としかいいようがありません。
今後も、この取組みに注目していますし、もっと世論に訴え、国の調査研究を進めさせることが大切だと思いました。

posted by YoshihideTachino at 18:04 | TrackBack(0) | 活動報告

福山通運らに損害賠償請求訴訟を提起し、勝訴和解

2016年06月11日

【事案の概要】

本件は、運送会社大手の福山通運(本店は広島県)の構内下請負会社(大蔵運輸産業株式会社)と業務委託契約を締結し、委託扱いとされていたトラック運転手(以下、「被災者」といいます。)が、顧客から過剰・異常なクレームを受けたことを契機に、契約解除(実質的な解雇処分)をされ、その急性ストレスによって精神障害を発病し、解雇当日に自死したという事案です。

 被災者は、福山通運の構内下請負業者である大蔵運輸産業と業務委託契約を締結して、福山通運の配送指示の下、配達業務に従事していました。
被災者は、顧客である荷受人からの過剰なクレームを受けたことに端を発して、会社のクレーム処理により被災者のミスとして取り扱われ、一旦は他支店の異動を伝えられながら、23年にも亘って勤務してきた会社での契約を打ち切られ、突如として全支店での契約をしない旨通告されたこと等によって強い心理的負荷(ストレス)を受け、自死に追い込まれました。契約解除を通告されたその日に自死しました。

【労災請求に当たって立ちはだかった種々のハードルと労災認定】

ハードル@:労働者性

● 契約形式が「労働者」ではない

 被災者は、契約形式としては雇用契約ではなく、業務委託契約を締結していましたので、労働者として扱われておりませんでした。そのため、被災者は労災保険にも加入されておらず、ご遺族らが労基署に相談をされたときも、労基署は労働者ではないので労災請求は無理であろうと説明されたということでした。

● 自己所有車両を使用する「傭車運転手」の労働者性は最高裁その他の裁判例でも否定されている

 傭車運転手の労働者性については、事例ごとの判断とはいえ、最高裁判例でも否定されており(横浜南労基署長(旭紙業)事件・最判平成8年11月28日 判例時報1589号136頁)、下級審の裁判例でも否定されています(堺労基署長事件・大阪地判平成14年3月1日 労働判例828号88頁以下等)。
 そのため、本件でも、当然、労働者性は大きな壁となることが予想され、最高裁まで闘う覚悟で臨みました。

● 積極的な証拠収集

 まず、3つの事業所への証拠保全手続を含む種々の証拠収集手続により、労働者性や労働実態を裏付ける証拠を積極的に獲得しました。
 特に労働者性については、会社としては労務管理体制からこれを認めるわけにはいかないので、徹底的に否定してくることが想定され、労基署の聴取調査などで当方に有効な供述が得られることはまずないといえるので、早目に客観証拠の収集をしておくことが重要でした。

● 労働者性判断の「鍵」となった「バイク便ライダーの通達」

 通常、労働基準法研究会の昭和60年12月19日付け報告書にしたがって労働者性を検討するのですが、私は、本件の労働者性を判断するに当たっては、平成19年9月6日東労基発257号「バイシクルメッセンジャー及びバイクライダーの労働者性」(以下、「バイク便ライダーの通達」といいます。)の判断基準が最も有用であると判断しました。
 そのうえで、労災請求に当たっての弁護士意見書において、バイク便ライダーの通達に基づいて、被災者の労働者性を詳細に主張しました。

● 茨木労基署の判断

 茨木労基署も、当方の意見書通り、バイク便ライダーの通達の判断基準に照らし、労働者性を認めました。調査官にも弁護士意見書が大いに参考になったと言っていただけたので、これは大変嬉しかったです。
 何より、最高裁でも否定されてきた傭車運転手の労働者性が、新たな指標によって、労基署段階でも認められる可能性が広がったことは、今後の労災実務にとっても重要な意義を持つものであると確信しています。

ハードルA:自死の労災認定要件である「精神障害の発症」が認められるのか

● 精神科の受診がなくても、精神障害の発病は認められる。

 自死が労災であると認められるためには、自死の前にうつ病エピソードなどの精神障害を発病していたと認められる必要があります。
 つまり、自死は本人の「覚悟の」ものではなく、精神障害の病態として起こってしまっており、本来の意味で自分の意思によるものではないということです。
 ところが、事案の概要でも記載しているとおり、本件は実質的には解雇処分に相当する契約解除処分をされた、その当日に自死されています。
 そうすると、自死の前に精神障害を発病したと立証できるかどうか、これが二つ目のハードルとして立ちはだかります。
 当然、解雇の後に、精神科はおろか医療機関の受診はありません。
 しかし、ここは当時、遺族を含めて被災者と接触された方の様子の変化についての供述を集めて精神医学的な評価を加え、また亡くなられた客観的状況からも精神障害の発病をうかがわせる異常心理がみられることを意見書で主張しました。
 その結果、茨木労基署は、抑うつ気分、活動性の減少、将来に対する希望のない悲観的な見方の症状の出現に加え、食欲不振や中途覚醒の症状も認定して、「うつ病エピソード」(F32)の発病が認定されました。

● 急性ストレスによる急激な発症態様のうつ病も認められる

 抑うつ気分、活動性の減少、将来に対する希望のない悲観的な見方の症状の出現に加え、食欲不振や中途覚醒も認定して、「うつ病エピソード」(F32)と認定されました。
 うつ病エピソードは、ICD-10という基準では、症状が2週間持続することが要求されているのですが、専門部会は、特に2週間の症状持続期間について言及することなく、「うつ病エピソード」(F32)と認定しました。
 この点、ICD−10でもうつ病エピソードの急激な発症態様があり得ることについては記述があるので、仮に急激な発症態様であっても、うつ病エピソードが認定される可能性があることが示されていると思います。

ハードルB:ストレス要因

 本件では、会社の事務担当との連絡上の行き違いから、顧客からの過剰なクレームを受けて警察沙汰となり、そのことで契約打ち切りにまで至った経緯があります。
茨木労基署は、これを時系列的に、「本人のミス」→「警察沙汰」→「実質的な解雇」として、「会社の経営に影響するなどの重大な仕事上のミス」とはいえないが、過重な懲戒処分を受けたものとして、心理的負荷の強度を「強」として評価しました。
当方としては、会社の事務担当との連絡上の行き違いがあったのであり、単純に「本人のミス」とされたことには不満が残りましたが、いずれにせよささいなミスであり、荷受人から警察沙汰にされたり、実質的な解雇を受けるいわれはないのですから、過重な懲戒処分であったとの評価自体は妥当なものと評価できます。

【損害賠償請求訴訟の提起と和解成立】

 ご遺族は、福山通運及び大蔵運輸の両社を被告として、死亡損害についての賠償請求訴訟を平成26年12月18日に提起しました。
 平成28年5月30日、裁判所の和解勧告を受けて、3600万円を原告らに支払うということで和解が成立しました。
 裁判所の和解勧告は、労働者性を前提に、被告の安全配慮義務違反を認める内容のものであり、ほぼ全面的な勝訴和解となりました。

【本件の意義】

 業務委託扱いとなっているトラック運転手について、配送方法などの指示・拘束性がある場合は、バイク便ライダーの通達等により労働者性が肯定される可能性が十分にあることが確認されました。傭車運転手の労働者性について、前記のとおり、最高裁判例では否定された事例もありますが、あくまで事例判断というべきであり、あきらめる必要は全くありません。
 また、実態としては労働者であるものの業務委託扱いとするスキームは、配送会社やその他の業界にも散見されます。本件のように全国的に大手の配送会社やその子会社も、このようなスキームを使用していることが明らかとなりました。
 一般的に、業務委託扱いは、会社にとって社会保険や労災保険に加入しなくて済むからコストを削減する手段となりえますし、また自由に契約解除ができるなど労働法規制も免れることができてしまいます。
 本件の23年間も勤め上げたにもかかわらず、突然、解雇処分に相当する契約解除という事態は、まさに労働契約法上の規制が及ばない不安定な委託契約の危険が現実化したものといえます。
 また、業務委託扱いとされることによって、例えば仕事中に事故にあっても、労災補償がなされにくくなるということも問題です。
 本件を、実態に合わない契約形式によって、労働法の規制が及ばないスキームが安易に使用されてしまうことへの警鐘とし、業務委託扱いとされながら実態は労働者である働き手の保護へ途を開く契機の一つとしたいと思います。

 ※朝日新聞 2016/6/1 朝刊(PDF)

posted by YoshihideTachino at 09:49 | TrackBack(0) | 裁判