過労死・過労自殺や労災事故で、労災認定が出たとしても、不服申立てをすることがあります。
それは、労災認定された後に出る遺族補償給付や障害補償給付の金額算定の基になる、「給付基礎日額」についてです。
給付基礎日額とは、ざっくりいうと、災害事由の直前3か月間の1日当たりの平均賃金です。
これに本来支払われるべきであった未払いの残業代が算入されていないことがあるのです。
厚生労働省から各都道府県労働局長宛へ出された通達でも、これら未払いの残業代は平均賃金算定に当たって含めることとされています。
過労死・過労自殺の背景には、長時間のサービス残業が存在することが多いので、多額の未払い残業代が存在します。
ところが、実際の労災実務では、前記通達が存在するにもかかわらず、適正に未払い残業代が算入されていないことが多いのです。
長時間のサービス残業では、給付基礎日額の金額が1.5〜2倍、もしくはそれ以上になるケースすらあります。
そうすると、受給できる遺族補償給付や障害補償給付も同じように増額します。
したがって、これはかなり重要な問題です。
なお、このような不服申立てをしても、既に決定済みの労災給付は問題なく受給を続けることができます。
労災認定が出ても油断せずに、給付基礎日額をチェックするようにしましょう。