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過労自殺事案で、労働保険審査会で業務の過重性が肯定され、逆転裁決となり労災認定

2016年06月24日

先にご報告していたとおり、平成28年6月21日に報道されましたが、可能な範囲でご報告します。

【事案の概要】

被災者(30代・男性)は、建築用資材の土砂の仕入れ及び販売を事業とする会社に入社し、同社が経営する金券ショップの店長として、金券、チケット等の仕入れ販売業務に従事していました。

当方は、労基署に対し、途中から金券ショップが被災者一人での営業となり、そのため長時間労働や連続勤務による疲労に加え、ノルマというべき経費や自身の給料分の売上げを達成できていなかったこと、淡路の土砂事業についても新規に担当となり、休日に対応せざるをえなかったこと等により、うつ病エピソードを発病し、自死したものと主張していました。

ところが、労基署により業務の過重性が否定され、その後、労働者災害補償保険審査官に審査請求をして、これも棄却されたので、労働保険審査会に再審査請求を行いました。

平成28年1月、労働保険審査会は、業務の過重性を認める逆転裁決を下し、労災認定されました。

【裁決のポイント】

被災者は、週における唯一の休日である日曜日にも、土砂関連事業のため淡路島へ社長に同行していました。

ところが、労基署は、上記同行について、業務を目的にしていたとは客観的に認められないとして、業務として評価しませんでした。社長は、労基署に対して、「気晴らしのため」同行させていたなどと供述していました。

しかし、審査会は、社長が、ある時期から淡路島で土の販売業務を行っており、淡路島へは仕事の段取りを決めるため業務目的で出張していたこと、また、被災者を上記出張に同行させていたのは、今後取り組むこととなる淡路事業を学んでもらうためであるとしていること、運転業務や打ち合わせの立会いも認められることから、上記同行を業務と認定し、宝くじの販売期間を含め、33日間の連続勤務が認められるとして、心理的負荷の強度を「強」と判断し、業務の過重性を肯定しました。

【裁決を受けて思うこと】

今回、労働保険審査会から逆転裁決を得ることができましたが、社長の出張に同行していたことを、当事者である社長の供述のみに依拠して、被災者の業務ではないと評価した労基署、審査官の評価の仕方は、社会通念から見ても妥当性を欠くものと言わざるを得ません。

このように、民事リスクを負った社長や上司らの供述のみから不自然な評価・判断をされて、労災として認められないケースは他の過労死事案等でも多く見受けられ、供述の信用性評価のルール、事実認定における基本的な作法を今一度見直していただく必要があると思っています。このような評価の仕方で、労災として認められず、悔しい思いをされた方は多いのではないでしょうか。

常識に照らした適正評価を労基署、審査官にしていただくようにするためにも、このような評価のあり方の問題を訴え続ける必要があると感じています。

posted by YoshihideTachino at 14:46 | TrackBack(0) | 裁判
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