昨日は残業代請求訴訟の裁判期日がありました。
これは、過労自殺事案で労災認定された事件で、未払い残業代もあったので
亡くなったことについての損害賠償請求とは別に、残業代請求の訴訟も提起しているものです。
このように、過労死・過労自殺は、いわゆるサービス残業が密接に関連していることが多いのです。
サービス残業であるからこそ、長時間労働が放置され、また長時間労働に対する報酬も得られないので、ストレスが高まりやすいということも影響していると思います。
努力に対する報酬が得られないことがストレスを高め、メンタルリスクを高めることについては、「努力・報酬不均衡モデル」といって、厚生労働省も採用するストレス調査の基礎ともなっています。
また、過労死・過労自殺の背景に、労働時間が自己申告制になっているケースが非常に多いのです。
仮にタイムカードを導入していても、先に打刻してから残業したり、後でタイムカードを修正していたり、退勤については打刻させないルールを採用しているところすらあります。
こういった会社の勤怠記録では、例えば、退勤時間が、「18:00」と切りのよい数字が不自然に並んでいます。
ご遺族が会社からこのような勤怠記録を出された場合、自己申告制ではないか、実際の労働時間と違うのではないかと疑ってみられた方がよいでしょう。
昨日の訴訟の過労自殺事案も、まさに自己申告制を採用している会社でした。
労災申請段階で集めたパソコン記録と照らし合わせると、申告された時間とパソコン記録により認定された残業時間がおおよそ2〜8倍違っていました。
これでは、使用者の労務管理としてあまりに杜撰と言わざるを得ないと考えています。
私は、そのような労務管理体制を取っていたことも、社員への安全配慮義務違反の重要な要素であると考えており、自殺についての責任を問う損害賠償請求訴訟を会社に提起して争っています。
皆さんの職場でも、自己申告制が取られていないか、残業時間の申告時間を規制されていないか、是非チェックをしてみてください。
そのような労務管理が取られているとしたら、上記のようなリスクがあることも知っておいていただけたらと思います。